AIが決めた恋
3年ぶりの藍との再会。以前のようにまた藍と話ができる。そして、告白する。そう思っていた。しかし、現実は予想とは遥かに違っていた。

「その髪、どうしたの?」

藍の家へ行き、先ず一番初めに違和感を感じたのは、藍の髪型についてだ。藍は昔から、毛先がくるくるとしている短い髪がチャームポイントだった。それなのに、僕の目の前にいる藍は、肩と腕の間くらいまで髪の毛が伸びている。

「伸ばしてみただけ。」
「そっか!長い髪も似合ってるね。」

3年間離れていたとしても、それより前は、ずっと一緒にいたんだ。だから、会話のリズムも、言葉の選び方も、何一つ忘れていない。以前話していた話し方を、僕は忠実に再現できる。

「お世辞ならいらないよ。」
「お世辞じゃないって!」
「そう。」

しかし、藍は違った。表情も、声も、話し方も、以前とはまるで違っていた。その声は、感情を失ったかのような、単調で抑揚(よくよう)のない声だった。

「そうだ!久しぶりにゲームしない?」

僕は、明るく言った。

「ゲーム…?」

なんでも良かった。少しでも昔の時間を取り戻そうと必死になった。
子ども部屋へ行くと、ゲームをテレビに接続し、床に座って、僕達は数年前に流行ったゲームをプレイし始めた。
藍はずっと無言だった。以前は一緒に笑ったり叫んだりしながら楽しんでいたのに。

「藍、楽しい…?」
「楽しいよ。」

そう即答した藍。しかしそれが嘘であることは、直ぐに分かった。
僕はゲームを中断し、コントローラーを床に置いた。
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