AIが決めた恋
「じゃあ、僕は裕さんと。」

裕さんは、今日1日僕と一緒だと言っていたし、湖川さんと桃野さんは今日、1度もペアになっていないはずだ。

「何言ってるの、蛍くん。」
「え?」
「もう僕、蛍くんと乗るの飽きたんだけど。」
「え、でも、さっき──」
「ももちゃん!一緒に乗ろう!」

僕は混乱する。意味が分からない。裕さんは、一体何を考えているのだろう。だってこのままでは、僕と湖川さんが──

「え、私?待ってよ、私は藍ちゃんと乗りたい!」

それはそうなるだろう。本来、桃野さんと一番仲が良いのは、湖川さんなのだから。

「えぇ!ももちゃん酷い!」
「だって、藍ちゃん大好きなんだもん!!」
「でも、藍は蛍くんとももちゃん、どっちと一緒に乗りたい?」

そんなの、桃野さんに決まっている。

「え、ええと…。」
「裕くん!そんなの私に決まってるでしょ。佐倉くんが可哀想だよ。」

確かにその通りだけれど、そこまで露骨(ろこつ)に言われると、少し傷つくものだ。

「お願い、ももちゃん。一生のおねがい!」

裕さんが、目をうるうるさせながら上目遣いをした。

「うぅ…、その顔、(ずる)い…!」
「お願い。」
「分かったよー。裕くんと乗ってあげる!」
「やったー!ありがとうー!」

裕さんが飛び跳ねて喜んでいるけれど、きっと演技だと思う。
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