AIが決めた恋
この小説を本にしようと担任の先生から言われた時、そして実際に本にした時、僕はとても嬉しかった。何一つ器用にこなせない自分にも、得意なことがあったのだと、気づけたような気がして。でも…。
『あんたみたいな頭も悪けりゃ語彙力も無い無能が書いた作品を本にして何になるって言うの?笑わせないでよ。先生も全然見る目が無くて可哀想。』
あの言葉が、今でも引っかかっている。才能があるのではないかと期待していただけに、ショックが大きかった。
あの日から、何度もこの小説を捨てようとしたけれど、できなかった。
いつもゴミ箱の前で、手が震える。小説を書いた過去なんて、無かったことにしようと思っているのに、本当にそれで良いのか、葛藤している自分が何処かにいたんだ。
だから、いつかちゃんと捨てられる時が来た時、気持ちが変わらないうちに捨ててしまえるように、今まで肌身離さず持っていた。
「佐倉くんは無能ではないですよ。」
湖川さんが、呟くように言った。
「そんなことないよ。」
「ももちゃんから、この前の定期テストが5位だったと聞きました。凄いです。無能だったら、そんな順位は取れません。」
そんなの、全然凄くない。
僕は中学生の頃まで、勉強に関しては特に母親から厳しく指導をされていた。
『満点を取るまで解き続けなさい。』
それが母の口癖で、何度も何度も母の命令で問題を解かされ、酷い日には、1日に15時間程拘束されていたこともある。
1度、疲れてベッドで寝てしまった日があったが、その日は、勢いよく布団を引き剥がされ、
『やる気が無いなら、勉強なんて辞めちまえ!この出来損ないが!!』
と、酷く怒鳴られた。
精神的に追い詰められ、仕方なく勉強していただけだ。
命令されて勉強をしていたから、他の人より少しできるようになっただけで、そんなの何も凄くはない。
「私、やっぱりこの小説、読んでみたいです。」
「どうして?」
「小説が好きだというのと…、それから、佐倉くんが書いた小説だからです。」
鼓動が大きくなった。
『あんたみたいな頭も悪けりゃ語彙力も無い無能が書いた作品を本にして何になるって言うの?笑わせないでよ。先生も全然見る目が無くて可哀想。』
あの言葉が、今でも引っかかっている。才能があるのではないかと期待していただけに、ショックが大きかった。
あの日から、何度もこの小説を捨てようとしたけれど、できなかった。
いつもゴミ箱の前で、手が震える。小説を書いた過去なんて、無かったことにしようと思っているのに、本当にそれで良いのか、葛藤している自分が何処かにいたんだ。
だから、いつかちゃんと捨てられる時が来た時、気持ちが変わらないうちに捨ててしまえるように、今まで肌身離さず持っていた。
「佐倉くんは無能ではないですよ。」
湖川さんが、呟くように言った。
「そんなことないよ。」
「ももちゃんから、この前の定期テストが5位だったと聞きました。凄いです。無能だったら、そんな順位は取れません。」
そんなの、全然凄くない。
僕は中学生の頃まで、勉強に関しては特に母親から厳しく指導をされていた。
『満点を取るまで解き続けなさい。』
それが母の口癖で、何度も何度も母の命令で問題を解かされ、酷い日には、1日に15時間程拘束されていたこともある。
1度、疲れてベッドで寝てしまった日があったが、その日は、勢いよく布団を引き剥がされ、
『やる気が無いなら、勉強なんて辞めちまえ!この出来損ないが!!』
と、酷く怒鳴られた。
精神的に追い詰められ、仕方なく勉強していただけだ。
命令されて勉強をしていたから、他の人より少しできるようになっただけで、そんなの何も凄くはない。
「私、やっぱりこの小説、読んでみたいです。」
「どうして?」
「小説が好きだというのと…、それから、佐倉くんが書いた小説だからです。」
鼓動が大きくなった。