AIが決めた恋

「次は〜、『高瀬AI研究所附属高等学校前』〜。次は〜、『高瀬AI研究所附属高等学校前』〜。お降りのお客様は、足元にお気をつけて──」

どうやら、話をしている間に、高校の近くの駅に到着したみたいだ。
皆はぐっすり眠っていて、起きる様子はない。

「湖川さん。」

僕は、隣に座っている湖川さんに、そっと声をかけると、湖川さんは飛び起きた。

「さ、佐倉くん…！私、もしかして、佐倉くんの肩に…。ご、ごめんなさい…！」
「大丈夫だよ。気にしないで。」
「でも、私のせいで、佐倉くん、寝られなかったんじゃないですか…？」
「元々眠たくなかったから、問題無いよ。」

本当は少し眠たかった。しかし、眠れなかった。勿論、湖川さんのせいではない。
過去に母から寝ている時に激しく怒鳴られたことで、その頃から人前では眠りづらくなったのだ。

「そうですか。それなら良かったです。」

そんな会話をしている間に、真島くんが他のメンバーも起こしてくれ、僕達は電車を降りた。