AIが決めた恋
第6章 君が笑うことこそが

どうして君が…!?

夏休みが終わり、新学期が始まって数日が経過した。
今日は1時間目から3時間目まで、全て家庭科の授業が入っている。
どうやら、家庭科の授業と、パートナーとの相性を研究するイベントがコラボした企画らしい。
普段は普通の高校生活を送っているように思えるが、たまにこのようなイベントがあると、やはり自分が研究の被験者であるということを実感する。

「それでは皆さん、先程1人1枚、封筒を配布しましたが、先生の合図があるまで中は見ないようにしましょう。」

先生が、配布された封筒の中身と、今日の授業内容について、長々と説明している。
どうやら、この授業では、乳幼児が遊べる玩具(おもちゃ)の制作をするらしい。
配られた封筒の中に入っている紙には、パートナーと同じお題が書かれており、それを一緒に作るらしい。
この学校には、本格的なAIの研究をしている、『研究棟』と、僕達高校生が通っている『高校棟』があるが、今回は『研究棟』の方で授業を行うそうだ。『研究棟』には、3階に大量の個室があり、今回の授業では、1組1部屋使うことになっている。
先生の合図があるまで紙を見てはいけないのは、男女別々にスタートをして、スタートと同時に紙を見て、パートナーと無事同じ場所へ辿り着くこともミッションに含まれているかららしい。
そして更に、先程、全員分のスマートフォンを没収された。何故だかはよく分からないが、研究を行う上で、不都合なことがあったのだろう。

「それでは、女子は音楽室へ、男子は体育館へ向かってください。そこがスタート地点になります。」

そう言われ、僕は体育館へ向かった。
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