AIが決めた恋
「あ、えっと、駄目…ですか?」
「いや、駄目じゃないよ。」

反省文は小説とは違い、何のストーリー性もない。そして、僕は、小説を書く時は、自分の思いをそのままぶつけるようにしているが、反省文は書けと言われたから、淡々(たんたん)と書いただけで、何も感情は込めていない。そんな文章では、きっと湖川さんを満足させられない。こんなことなら、もう少し気持ちを込めて書けばよかったなと思う。

「ありがとうございます。」

湖川さんに、反省文を手渡した時、手と手が一瞬だけ触れた。
その瞬間、この前の出来事が、一気に頭を過ぎった。
『いくらでも泣いていい。その後で、笑ってくれたら、僕はそれで嬉しいんだ。』
い、今更だが、本当に僕はなんということを言ってしまったのだろう…!!しかも、ただ言っただけではない。湖川さんを、だ、だだだだ抱きっ…!

「こ、湖川さん!」
「へっ?」

謝ろう。あんなことをしてしまい、先ずは謝らなければならない。

「あ、あの時は──」
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