AIが決めた恋
「『白雪姫』の白雪姫とその王子役を演じていただきます!!」

女子達の、『キャー!』という声が、体育館中に響き渡った。
一昨年はアイドル、昨年は社交ダンスときて、今年は演劇か。我ながらよく考えられていると思う。

「なあなあ蛍貴!聞いたか!?『白雪姫』だってよ!?」
「ああ、うん。それがどうかしたの?」
「けっ!お前はホントに昔からこういう所クールだよな!つまんねー奴!」

そんなことを言われても。このような場面で、どのように反応するのが正解なのか、よく分からない。
取り敢えず、『キャー』と叫んでみようか。
いや、僕が叫んだところで、きっと気持ち悪いことにしかならないだろう。

「ってかさ、これではっきりと俺達が相性1位だって分かっちゃったよな!」

本田くんが得意気な顔でそう言った。

「どうして?」
「お前、結構頭良い癖に分かんねーのか!?」
「うん、ちょっと検討もつかないな。」
「ふっ、これだから頭の硬いやつは困る。」
「分からないから教えてよ。」

きっと、『教えて』という言葉を待っていたのだろう。本田くんの顔が、ぱあっと明るくなった。

「俺のパートナーの名前だよ!」
「名前?」
「そう!陽芽!で、今年行われるのは、『白雪姫』!雪のように色白の超絶美少女で名前に『ひめ』がついているのは、きっとお陽芽だけだ!これはお陽芽の為に作られた企画だ!!」

なるほど。本田くんにしては、説得力がある。それに2人はとても相性が良さそうに見えるし、もしかしたら本当に1位なのかもしれない。しかし、いくら陽芽さんが美少女だからといって、本田くんが王子役というのは、あまりしっくりこない。しかし、これは本人に伝えない方が良いだろう。
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