AIが決めた恋
「先輩、遠慮しなくて良いんですよ。直接、下手だったと言ってください。」

真島くんが何の躊躇(ためら)いもなく、そう言った。

「へ、下手は言い過ぎでは…?」
「いや、妥当だ。最初から最後まで棒読みだっだろう。」
「そ、そうでしてか…?ご、ごめんなさい。」
「謝らなくていい。君は何かと不器用なところがあるから、想定はしていた。先輩方との差を埋める為にも、死ぬ気で頑張れ。俺もできることはするから。」
「は、はい。宜しくお願いします。」

厳しいのか優しいのか、よく分からない。しかし、はっきりと私の現状を伝えてくれるのは有難い。
私は演劇未経験だが、甘えてはいられない。やるからには、完成度の高い舞台を目指したいから。

「キャ〜!見て〜!コウ様よ〜!!」

教室の入口から、数人の黄色い声が聞こえてきた。

「今日は剣道部の練習にいないから、休みだと思っていたけど、ここにいたのね〜!」
「格好良い〜!」

どうやら、『コウ様』というのは、真島くんのことらしい。やはり真島くんの人気っぷりには驚愕(きょうがく)だ。こんなに人を集めてしまうなんて。

「あー、人が集まってきちゃったなぁ。」

演劇部の部長が頭を抱えた。
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