AIが決めた恋
「すみません。俺のせいで…。」
「いや、真島くんは悪くないんだよ。ただ、鍵を閉めておくべきだった。練習の様子が知られてしまったら、本番の新鮮さが無くなってしまう。」

なるほど。確かにそうかもしれない。そこまで考えて演劇は行われているのか。とても興味深い。

「読み合わせも一通り終わったし、初日だから、今日はこの辺で終わりにしよう。」
「それで…いいんですか?」

真島くんが、申しわけなさそうに尋ねた。

「いいんだよ。焦ることじゃないからね。」
「そうですか。」
「うん。でも、その姿勢はとても良いことだよ。今年は真面目な2人で良かった。」

『今年は』ということは、去年は違ったのだろうか。

「実はね、去年は相性1位の2人をダンスサークルの人が指導をしていたんだけど、2人ともあまりやる気が無くて、大変だったという話を聞いたんだ。」

そうだったのか。でも確かに、相性1位のパートナーは、文化祭での出し物を先生方に勝手に決めれるのだから、あまり好きでない出し物だったら、やる気が無くなってしまうこともあるのかもしれない。

「これからが楽しみだ!ってなわけで、今日は解散!!」

部長がそう言った瞬間、それを外で聞いていた女子生徒達が一斉に教室の中に入ってきて、真島くんを取り囲んだ。
私は、そんな真島くんを横目に見ながら、さっさと帰ることにした。

「待て!」

帰ろうと、真島くんに背を向けた瞬間、私は彼に腕を掴まれた。
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