AIが決めた恋
「湖川さん、大丈夫?」
「真島くんに、嫌なこととかされてない?」
「嫌な、こと…。」
「例えば、暴力とか。」

やはり彼女達は、あの噂を信じ込んでいるみたいだった。

「嫌なことなど、何一つされていません。」

はっきりと言ってしまったが、もう少し優しい言い方の方が良かったかもしれない。
でも、本当か嘘かも分からないような噂に振り回されて、勝手に真島くんの人格を決めつけられてしまうようなことが、あって良いはずがない。

「真島くんを疑うのも、信じるのも、自分自身の勝手だと思いますが、私は信じることにしました。」
「えっ。」
「では、それだけですので。」

彼女達が動揺している様子を他所(よそ)に、私は多目的室へと向かった。
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