AIが決めた恋

憂鬱

突然の出来事に、私は焦った。

「でも…。」

文化祭の日も近づいてきて、学校内はすっかり文化祭モードだ。私も少しずつ文化祭が楽しみになってきたが、たった今、ちょっとした事件が起こった。いや、真島くんの悪い噂が流れたことと比べたら、『事件』と呼ぶのは大袈裟過ぎる。ただ、私にとってはまぎれもない、『事件』だった。

「お願い! 宣伝美術班の人手が足りてなくてさ〜、だから、クラスの女子は1人1枚、喫茶店のチラシを作ることになったんだよ。」

クラスの女の子2人が私に頭を下げた。
私のクラスでは、文化祭の出し物として、喫茶店を行う。その為に、宣伝美術担当の生徒がチラシを作っているそうだが、どうやら人手が足りていないらしい。
私もクラスの一員として、できる限りのことを手伝いたい気持ちはある。しかし…。
非常に困った。それは何故か。実は私は…、
とんでもなく、絵が下手なのだ。
幼稚園の頃、絵の上手い友達に絵の描き方を習って描いた絵を鼻で笑われた。小学生の頃に描いた絵は、かなり努力したのにも関わらず、先生から、
『ふざけないでください。』
と注意をされた。おまけに中学の時、皆で1枚の絵を作る活動では美術先生から、
『湖川さんは、悪いけど色塗りだけにしてくれる?』
と頼まれてしまった程だ。
そのくらい、私は絵を描くことが苦手なのである。
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