AIが決めた恋
「お前、最後の最後までチラシ描いてたじゃんかよ。」
「湖川かよ〜!お前、救いようのないくらい、絵下手なんだな!ウケる!!」

わざわざ特定しなくてもいいのに。この前、一瞬だけ本田くんは良い人なのかと思ったけれど、そんなことはなかった。やはり私は本田くんが苦手だ。
どうしよう…。このまま黙ったままでいたら、認めることになってしまう。いや、認めるも何も元々これは正真正銘、私が描いた絵なのだから、否定することもできない。

「こんなセンスのないチラシ作っておいて、客減ったらどうすんだよ!」
「マジで困るんですけどー。」
「責任取れよな!」

男子達の声は、どんどん大きくなっていく。

「ちょっと、それは良くないんじゃないかな。」

男子の声をかき消すように、佐倉くんが言った。

「何だよ蛍貴、湖川のこと(かば)うのか?」
「そういうことじゃなくて。人が描いた作品をそんな風に言うのは失礼だよ。」
「お?まさか蛍貴、湖川のことが好きなのか!?」
「違──」

男子達は、佐倉くんの話も聞かず、口笛をヒューヒューと鳴らし始めた。
もうきっと、この場は収拾がつかない…。
頭が回らない。どう返せば良いのか分からない。何よりも…彼らが怖い…。
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