AIが決めた恋
「湖川さん…?どうしたの?お兄ちゃんって…。って、貴方誰ですか!?」

部長も、お兄ちゃんの存在に気がついたようだ。

「へへっ。藍の従兄の湖川裕です!この高校の卒業生で、先週から1ヶ月間、AI研究所で実習をすることになりました。宜しくお願いします!」

宜しくお願いしますじゃないよ…。皆、戸惑ってしまっている。

「ま、まあいいです。従兄さんも飛び入り参加ということで…。とにかく、明日は心を1つにして頑張りましょう!では〜、解散っ!!」

部長がそう言って、私達の最後の練習が終わった。
私はすぐにお兄ちゃんに話しかける。

「お兄ちゃん、どうしてここにいるの?」
「1週間前に、蛍くんに会って、藍が舞台の練習をしていると聞いたんだ。本当はその時すぐに藍のところへ行こうと思ってたんだけど、やっぱり最終日の方が面白いかなって思って、今日来てみた!」

まったく。『今日来てみた!』ではない。

「蛍くんだけじゃなくて、広くんにも、1週間くらい前に会ったよ!ね?」

お兄ちゃんが、真島くんの顔を見て、ウインクをした。

「はい。」

まさか真島くんにも会っていたとは。

「この学校に来るなら言ってくれても良かったのに。」
「藍だって、広くんとの相性が1位だったこと、僕に言ってくれてなかったでしょ。」
「それはそうだけど…。」

それはそうだが、別にいじわるで言っていなかったのではない。最近、お兄ちゃんと会っていなかったから、言うタイミングが無かっただけだ。
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