AIが決めた恋
「まあ、細かいことはどうでもいいよ。そんなことより、一緒に帰ろう?」
「えっ?」
「えっ?一緒に帰るでしょ?」

どうしよう。
確かにお兄ちゃんと一緒に帰っても良いのだが、私は、役作りの為に、真島くんと一緒に帰らなければならない。しかも、手を繋いで。
3人で一緒に帰るという手もあるが、手を繋いでいるところをお兄ちゃんに見られるのは、さすがに恥ずかし過ぎる。

「えーっと…。」

私が困っていると、ふいにお兄ちゃんのスマートフォンが鳴った。

「ごめん、電話だ。」

お兄ちゃんは、そのまま電話に出て、話し始めた。
先程までとは違い、とても真剣な表情をしている。

「はい、はい。…はい、分かりました。すぐに向かいます。」

それだけ言うと、お兄ちゃんは電話を切った。

「藍、ごめん。急用が入ったから、今日は一緒に帰れなさそうだ。だからまたの機会に。」
「うん。」

そして、お兄ちゃんは慌てて研究棟へと向かっていった。
お兄ちゃんには悪いけれど、今日は急用ができてくれて助かった。
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