AIが決めた恋

不安

「湖川さん、メイク完了です！」

文化祭当日。午後1時30分。私はお昼を食べ終わってから、舞台用のメイクを、演劇部の部員の女の先輩にしてもらっていた。

「ありがとうございます。」
「湖川さんは元が良いから、メイクが映えて、とても楽しかったよ！」

きっとお世辞だろうけれど、そのように言ってもらえると、少しだけ自信を持てるような気がした。
女子力が無いから、今までメイクは七五三の時以来、1度もしたことがなかったが、メイクも悪いものではないと感じた。
なんというか、自分に少しだけ自信がつくような…。

「今日の舞台、頑張ってね！」
「はい…。」
「もしかして、まだ緊張してる？」
「はい…。」
「じゃあ、気分転換にちょっと外を歩いてきてごらん。」
「分かりました。」

先輩のアドバイス通り、私は少しだけ外を歩くことにした。
体育館を出ると、何処からか風が吹いてきた。
空気がさっぱりしていて、とても気持ちが良い。

「藍ちゃ〜ん！！」

前方から私の名前を呼ぶ声が聞こえてきて、目をやると、ももちゃんが手を振りながらこちらに走ってくるのが見えた。
< 294 / 508 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop