AIが決めた恋
そして私は、それからも順調に演技を進め、ついに、王子の登場シーンがやってきた。
私は、棺(ひつぎ)の中で目を閉じている。
暫くすると、真島くんが舞台上に登場した。

「なんて美しい姫なんだ。まるで眠っているようだ。」

真島くんが台詞を言うや否や、観客から、黄色い声が上がった。
真島くんは、例の噂によって、人気が無くなったのではなかったのだろうか。よく分からないが、もしかしたら、皆、あの噂をあまり気にしていなかったのかもしれない。

「今にも、目を覚ましそうなのに、死んでしまっているなんて…。」

低く、そしてとてもよく通る声だ。
真島くんは普段、とてもクールであるが、きっと王子系であったら、今以上に人気があったかもしれない。

「小人さん。白雪姫に、お別れの…キスをさせてはくれないかい？」

微(かす)かに真島くんの吐息を感じた。
彼も緊張しているのかもしれない。緊張している姿を全く想像できないけれど。
しかし、このシーンは、どのシーンよりも練習を積み重ねた。真島くんは完璧に演じ切るはずだ。私も、目を開けるタイミングを、気をつけるだけだ。
そう思ったその瞬間、耳元で真島くんの声が聞こえてきた。
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