AIが決めた恋
「痛っ!!」

記憶を辿ろうとした瞬間、頭に鈍い痛みが走った。

「佐倉くん?目が覚めた?」

僕の声に気がついたのか、保健室の先生がカーテンをめくって、僕に声をかけた。

「はい。」
「体調はどう?」
「少し、頭痛がします。」
「そう。きっとお酒のせいね。」
「お酒…ですか?」

火事の原因、ウォッカを燃やしていたことと、頭痛に、何か繋がりがあるのだろうか。

「あの場にいた生徒達は、お酒を燃やした際に発生した煙を吸ってしまって、酔ってしまっていたの。佐倉くんもきっと、多くのアルコールを体内に取り入れてしまったのね。」

なるほど。だから記憶が無くて、頭痛がするのか。よりによっても燃やしていたのはウォッカだ。かなりアルコール度数が高い。

「佐倉くんもここに来た時は、かなり泥酔していたわよ。」
「えっ…?」
「まあ、ウォッカはアルコール度数が高いけど、アルコールが回りやすく抜けやすいから、もう抜けたみたいで良かったわ。」

ウォッカにはそのような性質があったのか。
そんなことを思ったが、気になったのはそちらではない。

「泥酔していたのに、自分一人でここへ来る事ができたのですか?」

そう尋ねると、保健室の先生は、小さく首を振った。
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