AIが決めた恋
体育館へ向かうと、そこには沢山の人が集まっていた。
ここで陽芽さんを探すのは難しそうだ。
そう思っていたその時…、

「桜ケーキくんっ！」

肩を叩かれ、振り返ると、陽芽さんが立っていた。本田くん、桃野さん、湖川さん、真島くんもいる。

「陽芽さん。その格好をしているということは…。」

陽芽さんは、御伽噺(おとぎばなし)の世界で王様が来ていそうなマントをはおり、頭には王冠をかぶっていた。

「優勝しちゃった〜！いえーい！」

陽芽さんがピースをする。

「お陽芽がダントツで1位だったんだぞ！！さすがお陽芽だ。」

何故か本田くんまで得意気にしている。

「それより、佐倉くん、身体の方は、もう大丈夫？」

桃野さんが僕に聞いた。

「うん。もう大丈夫だよ。心配かけてごめん。真島くんと湖川さんも、舞台を観にいけなくて、本当にごめん。」
「気にしてないから謝るな。佐倉が無事なら、それでいい。」
「ありがとう。」

僕がそう言うと、再び桃野さんが、僕の顔を心配そうに覗(のぞ)き込んだ。

「佐倉くん、私、本当に心配だったの。本当に本当に、もう大丈──」
「陽芽ちゃん、お疲れ様。」

桃野さんが言い終わらないうちに、正面からやってきた男の人が、陽芽さんに声をかけた。
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