AIが決めた恋

真っ白なタキシードを着ていて、『ミスターコンテスト優勝』というタスキを肩にかけている。
物凄く顔が整っていて、男の僕でも初見で見とれてしまいそうだ。
真島くんも格好良いけれど、真島くんがクール系だとしたら、きっとこの人は、王子系だ。

「お前！誰だよ！」

本田くんが鋭い目つきで相手を威嚇(いかく)する。

「僕はミスターコンテストの優勝者、水原奏汰(みずはらかなた)だよ。さっきのステージで陽芽ちゃんの横にいるの、見なかった？」
「うるせー！俺がお陽芽以外の奴をわざわざ見るわけないだろ！！」

完全に喧嘩モードだ。

「そうか。ごめんごめ…って…、も、もしかして君…！！」

突然、水原という人が、湖川さんの目の前に移動した。
驚いてしまったのか、湖川さんは3歩後ろへと下がった。

「な、何ですか…？」
「君！湖川藍さんだよね！！」
「え…ええ、まあ、そうですけど…。」
「ねえ、俺の事覚えてない！？」
「えっと…、誰ですか？」

湖川さんがそう言うと、水原という人は両手で頭を抱えた。

「あー！やっぱり覚えてないかー！」
「すみません…。」
「ほら、同じ中学だった、水原奏汰！同じクラスになったことは無かったけど、中1の時、いじめられそうになっている僕を助けてくれたでしょ。」

そこまで言われ、湖川さんはやっと彼のことを思い出したようだった。

「ああ、あの奏汰くん…？」
「そう！良かった〜、覚えててくれて。」

彼がそう言った時、桃野さんが強い力で僕の腕を引っ張った。