AIが決めた恋
「藍〜〜〜!!!」

突然後方から声が聞こえてきて、僕達は振り返る。

「お兄ちゃん!」

裕さんが、手を振りながら、こちらへやってきた。そして、水原くんを見るや否や、不機嫌そうな目をした。

「藍、この人、誰?」
「あ、えっと、同じ中学の──」
「湖川藍さんと同じ中学に通っていた、水原奏汰と申します。」

水原くんは丁寧に挨拶をしたが、裕さんの不機嫌そうな目は直っていない。

「中学…?」

裕さんの顔が、いっそう怖くなる。
その気持ちが、少しだけ分かる気がした。
僕は詳しくは知らないけれど、湖川さんは、中学時代に、人格が変わってしまうほどの大きな事件が起きたらしい。
同じ中学だということは、水原くんも、その事件に関わっている可能性がある。

「お、お兄ちゃん、奏汰くんは、悪い人じゃないから。」
「本当に?」
「うん、本当に。」

裕さんが湖川さんの瞳をじっと見つめた。
湖川さんも、信じてもらう為か、見つめ返している。

「どう…?お兄ちゃん、信じてくれた?」
「……可愛い。」
「えっ?」
「どうしよう!直視しすぎた!藍が可愛い!!」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん、何言って──」
「分かった。彼のことは認めるよ。でも、君に一つだけ質問がある。」

裕さんが水原くんに詰め寄った。
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