AIが決めた恋

途端にクラス中がざわめき出す。

「新しい担任、誰だろう？」
「やっぱ若くてスタイルの良い女の先生だろ！」
「お前、そんなこと言って、パートナーに怒られないのかよ〜。」

色々なところで、色々な会話が繰り広げられている。
僕はなんとなく、“彼女”の座っている方を見た。
今年も変わらずに、読書をしている。ブックカバーも以前と変わらない、淡い黄色のブックカバーだ。あの色がお気に入りなのだろうか。
そんなことを考えていると、教室のドアがノックされる音が聞こえてきた。
再び、教室中がしんとなる。
そして、その直後、扉が開き、1人の若い男の人が入ってきた。
教卓の前に立つと、彼は僕達の顔を見つめた。

「今日からこのクラスの担任をさせていただく、結城大和(ゆうきやまと)と申します。1年間、宜しくお願いします。」

先生が深くお辞儀をすると、教室中が拍手の渦に包まれた。

「え、ねえねえ、結構イケメンじゃない？」
「それ、私も思った！」
「若いのに、大人の色気があるっていうの？なんか惹き付けられるものがあるよね。」
「担任がイケメンとか最高！」

近くの席で、女子生徒達が盛り上がっている。
改めて担任の先生の顔とルックスを見ると、納得だ。ほっそりとしていて、髪はサラサラ、フレームの薄い眼鏡をかけていて、そこから除く目には、大人の色気が溢れ出ている。
僕は慌てて“彼女”の方を見た。すると、彼女は、目を大きく見開いて、驚いたような表情をしていた。もしかしたら、彼女も、口には出さずとも、他の女子生徒と同じことを思ったのかもしれない。
僕は内心で溜息をついた。