AIが決めた恋

「それでは、ホームルームを始める前に、皆さんに紹介したい人がいます。」

先生はそう言うと、教室のドアの向こう側に向かって、

「入ってきて。」

と声をかけた。
それと同時に、僕達と同い年くらいの、ショートカットの女の子が教室へ入ってきた。

「今日、この学校に転校してきた、影石愛さんだ。」

先生がそう言うと、その女の子は、

「影石愛です。宜しくお願い致します。」

とだけ言った。
『転校生』と聞いて驚いたのは、きっと、僕だけではないだろう。
普通の高校であったら、2年次から転校してくる人は、珍しくない。
しかし、この高校は、普通の高校とは違う。入学前に、相性ランキング上位150位までに入ったペアしか入学を許可されない。そして、1年次からそれぞれのパートナーが決まっている。水原くんのように、途中でパートナーが退学してしまうケースはあるらしいが、他から転校してくるということがあるはずがない。
それなら、どうしてこの子は──

「では、影石の席は…。」

直感的に、嫌な予感がした。

「佐倉の隣が空いてるな。では、佐倉の隣…1番窓側の1番後ろの席に座るように。」

僕の予感は見事的中した。
憧れていた一人席は、1時間も経たないまま終わってしまった。

「影石、他に言うことは無いか？」
「…すみません。緊張してしまって…。」

影石という女の子が、申し訳なさそうに言った。
こんなにも大勢の注目を浴びているのだから、無理もない。

「そうか。それなら仕方ないな。無理をして言う必要は無い。」
「はい。すみません…。でも、1つだけ言わせてください。」

そう言うと、彼女は教室中を見渡した。