AIが決めた恋

生徒手帳にも書かれていない、非常に稀なこの高校のルール。
影石愛という転校生。
そして、僕と桃野さんが呼び出された。
ここまでヒントを出されたら、もう正解は導き出されたようなものだ。

「つまり、僕と影石さんが、校内で最強の相性であったということですか？」
「なかなか勘が鋭いね。その通りだよ。」
「状況的に、それしか有り得ませんから。」
「そうか。それなら話が早い。」

僕は桃野さんの方を見た。桃野さんは不安そうな顔をしている。
そんな表情に、先生は気がついたようだった。

「桃野は、どちらかというと反対か？」
「…いえ。もし、佐倉くんが影石さんと校内で1番相性が良いのなら、2人がペアになるべきだと思います。でも…。」
「でも？」
「その場合、私はどうなるのでしょうか。」

その場合はきっと、水原くんのように、パートナーがいない生徒となってしまうのかもしれない。
桃野さんがいくら僕に興味が無いとはいえ、パートナーがいないのでは、何故この高校に入学したのか分からなくなってしまいそうだ。

「それに関してなんだが、実は、この高校にはもう1人、パートナーのいない人がいてだな。」
「知っています。水原くんですよね。」

桃野さんが即答する。

「ああ。実はだな。桃野と水原の相性をAIに診断してもらったら、学年150位以内に入ったんだ。」
「えっ…！？」
「だから、もし佐倉と影石がパートナーになるのなら、桃野は水原とパートナーになってもらおうと思っている。水原はもう既に同意しているみたいだ。」

先生がそう言った瞬間、桃野さんの表情が、ぱあっと明るくなった。