AIが決めた恋
「じゃあ蛍貴、帰ろうか。」
「あ、うん。」

元々一緒に帰るつもりは無かったが、彼女の中ではそのようになっていたらしい。
彼女と出会ってから今まで、完全に、彼女のペースに乗ってしまっている。

「じゃあね、藍ちゃん。また藍ちゃんとこうやって話せて嬉しいよ。これからも宜しくね。」

影石さんがそう言うと、湖川さんは無言で頷いた。
もう少し彼女と話がしたかったが、そのような空気感では無い。何がそうさせているのかは分からないが、今日の湖川さんは元気が無さそうだ。

「待ってください。」

僕達が歩き始めたと同時くらいのタイミングで、湖川さんが言った。

「どうしたの?藍ちゃん。」
「…の日。」
「え?」
「ぶ、文化祭の日のことを…。」

それだけ言って、湖川さんは口を閉じた。何かに迷っている様子だ。
文化祭の日の話が出たということは、これは僕に言いたい言葉なのかもしれない。正直、あの日のことは、僕自身もずっと気になっていた。

「や、やっぱりいいです…。」
「湖川さん、僕には何も躊躇(ためら)わなくて良いんだよ。」
「でも…。」
「僕も聞きたかったんだ。あの日、何があったのか。」

僕がそう言うと、湖川さんは大きく目を見開いた。
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