AIが決めた恋
『今からそろばん教室でしょ?一緒に行かない?』

正直、彼女と関わりたくは無かったけれど、もしかしたらこの誘いは、仲直りをしたいからなのかもしれないと思い、私は彼女の家へと向かった。
彼女の家に到着すると、丁度雨が降ってきた。それまでは晴れていた為、私は傘を持っていなかった。
そんな私に、彼女は信じられない言葉を投げかけた。

『ここでゲームです。私が用意したくじで、当たりが出たら、藍ちゃんに傘を貸してあげます。ハズレが出たら、傘は貸せません。1人でそろばん教室へ行ってください。』

どうしてそんなことをするのだろう。
そう思ったが、私は何も反論することができなかった。
当たりが出るよう祈りながらくじを引いたが、それはハズレであった。

『残念〜。あはは。実はね、このくじ、最初からハズレしか入っていなんだよ。じゃあ、そういうことで、藍ちゃんは1人でそろばん教室へ行ってね。私は他の友達と行くから。バイバーイ。』

残ったのは、悲しみと悔しさだけで、私はその場に立ち尽くした。
それから、雨の中、1人でそろばん教室へと向かったのだった。
あの時、私は彼女が本気で嫌いになった。それまで、誰かに対して“嫌い”だと言う感情は抱いたことが無かったから、その気持ちに戸惑った。しかし私はどうしても、彼女のことが許せなかった。
それから私は彼女から完全に離れられるよう、両親と陽芽に、彼女からされた嫌がらせについて話した。
家族は直ぐに分かってくれ、それから家族ぐるみの付き合いも、次第に無くなっていった。
そして、もう彼女のことで、嫌な思いはしなくて済むと思った中学2年生の時、私は一生彼女に会いたく無くなるほどの嫌がらせをされることになる。
しかし、それについては、あまり思い出したくない。
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