AIが決めた恋
「はあ…。」

朝からこれでもかと言うほど、溜め息が沢山出る。
それは、影石愛の存在だけではない。新しく担任になった、結城大和の存在も、私の気持ちを落ち込ませる原因となる1つの要素だった。
結城大和は、私の中学2年生の時の担任だ。
彼も影石愛と同様、もう二度と会いたくないと思っていた。それなのに、いつの間にこの高校の教師になっていたのだろう。
全く知らなかった。
彼が私を呼び出したのは、きっと、中学2年の頃の出来事について私と話がしたかったからだろう。
でも私は、彼と話がしたくなかった。
自分の中でまだ、あの時の出来事を、上手く整理することができていない。
今、話してしまったら、以前、佐倉くんの前で倒れてしまったように、正常な自分でいられる気がしない。
だから私は、呼び出しをすっぽかした。
しかし、罪悪感が残り、なかなか帰ることができなかった。
今思えば、あの時、さっさと帰っていれば良かった。そうすれば、佐倉くんと影石愛に遭遇しなくて済んだのに…。

「あれ?君、まだ残っていたのか…?」

ふと、頭の上から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
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