AIが決めた恋
「…謝りたいと思って。」

影石愛が、ボソッと呟くように言った。

「えっ?」
「私、小さい頃からずっと、藍ちゃんに酷いことをしていたよね…。本当にごめんなさい!」

彼女が私の前で土下座をした。

「ちょ、ちょっと!急にやめてください。」

以前、本田くんから謝られた時のことを思い出す。
目の前で土下座されるのは2度目だが、何度だって焦るものは焦る。

「顔、上げてくださいよ。」

私がそう言うと、影石愛は顔を上げた。

「謝って許されることではないくらい、私は酷いことをした。それがずっと心に引っかかっていて…。中3の時に転校してから、ずっとずっと後悔していたの。いつか藍ちゃんに謝らなきゃいけないって。」
「愛ちゃん…。」
「あの時の私は、きっとまだ子どもだったんだよ。勿論そんなの、言い訳にならないけどね。でも、転校して2年が経って、少しは大人になったつもり。私はあの時、藍ちゃんに嫉妬してたの。だから…本当にごめんなさい。」

影石愛がもう一度頭を下げた。
私は、思わずその場に固まってしまう。まさか、彼女がこんなことを言い出すなんて。
てっきり、また私を陥れる為に、何か嫌がらせをされると思っていたのに。
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