AIが決めた恋
「藍ちゃん…?どうかしたの…?」
「あ、ごめん。そういえば、今日、日直だったんだった。まだ日誌書いてないから、今から書くね。」

私は慌てて机の中から、日誌と筆記用具を取り出した。

「そっか。じゃあ、邪魔しちゃ悪いから、私は帰るね。日誌、頑張って!」
「うん、ありがとう。」

そう言って、ももちゃんに手を振った。
ももちゃんが少し羨ましい。普通に恋をして、パートナーと上手くいっているようで。可愛くて…。
一人になると、また余計なことを考えてしまう。
私達は、AIによって、パートナーを決められた。
強制的に決められたわけだけれど、この高校に入学したのは、自分の意思だ。
初めから、楽して結婚することを、望んでいたのに…。
それなのに私は、何に悩んで、何に迷っているのだろう。
特に恋愛感情を抱いている相手はいないから、普通にしていれば、真島くんと結婚することになるのだと思う。
それで、良いはずなのに…。

「湖川。」

教室の入口から声が聞こえてきた。声のする方を見て、私は固まった。
< 360 / 508 >

この作品をシェア

pagetop