AIが決めた恋
「まだ残っていたのか。」
「…結城先生…。」

先生と教室で2人きりになるのは、これで2度目だ。
1度目は、中学2年生の時。

「丁度良かった。話したいことが──」

私は、先生の話など聞かず、席を立ち上がった。

「日誌が書き終わりましたので、帰ります。」
「待て。」

待ちたくないのに。怖くて足が動かない。

「3年前のことだけどな…、」

3年前。
私が中学2年生の時のことだ。

「その話は、したくありません。」
「違うんだ。先生は、その時のことを、謝りたいと思って──」
「今更そんなことをして、何になると言うのですか?失った時間は、もう戻ってこないのですよ。」

自分でも驚く程、低い声が出る。
逃げたい。早くこの場からいなくなりたい。
先生の顔を見たくない。直視してしまったら、あの、綺麗で鋭い瞳に、全てを見透かされそうで…。
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