AIが決めた恋
「湖川さん!!」

佐倉くんが私の腕を掴む。
やはり、直ぐに捕まってしまった。

「どうして、逃げるの?…遊びだっから?」
「それは…、」
「違うでしょ。」
「えっ…。」
「湖川さんが、遊びなんてするはずないって、僕は信じたい。」

どうして、こんな時にまで優しいのだろう。もう、私のことなんて、見捨てれば良いのに。

「さっきは、『変』だなんて言ってごめん。」
「いえ…。」
「1週間前の結城先生とのことや、今のこととか、最近の湖川さんの様子がいつもと違って、心配だったんだ。」

影石愛に、私のことが嫌いになるような嘘を吹き込まれたというのに、彼はどうして普通にしていられるのか分からない。人の心配なんてしている場合じゃないはずなのに。

「最近、授業中も、よく寝てるでしょ?」
「見ていたのですか?」
「い、いや、その、ずっと見ていたわけじゃなくて…!その、少し目に入っただけだから。」
「そうですか。」

私と席が近くない佐倉くんにもバレているということは、各教科の先生にもバレているかもしれない。これからは気をつけよう。
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