AIが決めた恋
「それでも教えてください…!これが最後の質問ですから。岸部愛が湖川さんの近くにいたのは、どうして中2までなんですか?」

僕が普段よりも強い口調で尋ねると、裕さんは溜息をついた。今度は深呼吸のような溜息ではなく、僕に呆れているかのような溜息だった。

「彼女の両親が離婚した。それで、彼女は転校することになった。これで満足?」

岸部愛、中2、離婚、転校…全てが繋がった。

「裕さん、彼女は離婚して、苗字が変わったのですか?」
「質問は最後って言ってなかった?」
「すみません。この質問には、答えなくても大丈夫です。」
「答える答えないの前に、僕は彼女の苗字については知らない。藍が中学生の時には、藍から離れていたからね。その辺のことについては、陽芽の方が詳しいと思うよ。」

陽芽さんか…。確かに彼女は湖川さんと双子だから、中学時代も彼女の傍にいた、唯一の人だ。話を聞けば、何か有力な情報をつかめるかもしれない。
でも、そんなことより今は…。

「裕さん、まだはっきりしたわけではないですが、僕の話を少しだけ聞いていただけませんか?」
「暇だからいくらでも聞くよ。」

まだ憶測だけれど、裕さんに電話をかける前よりは、情報が出(そろ)った。
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