AIが決めた恋

「私のこと､嫌いになった…？｣
「いや、なってないよ。」
「本当？」
「本当に。」
「良かったあ。」

彼女は微笑み、その瞬間、僕の目をまじまじと見つめた。
なんだか距離が近い気がする。

「蛍貴。」
「ど、どうしたの…？」

影石さんは小柄で、目がとても大きく、整った顔立ちだ。
無意識でも、近づかれると、少しからずドキッとしてしまう。決して恋のドキドキではないけれど。

「瞼(まぶた)にゴミ、ついてる。」
「えっ？」

僕は反射的に目を瞑(つぶ)る。そして、瞼に、一瞬だけ影石さんの指が触れた。

「取れた。」
「あ、ありがとう。」
「どういたしまして。」

僕は中学まで女子の友達は1人もいなかったから、こんな風に近づかれるのには慣れていない。今のでも、はっきりとそれが分かった。
それなのに、本当に僕は文化祭の時、湖川さんに──
いや、それは、今考えるのはやめておこう。羞恥心で死にそうになる。