AIが決めた恋

「っ…！！」

後ろ向きで背中しか見えないが、あれは“彼”だ。
丁度、上半身の服を脱いでいるところだった。なんとなく、ポケットからスマートフォンを取り出し、無音カメラアプリを開くと、私はその後ろ姿を写真に撮った。
ここで声をかけたら、面白そう。
そう思って、私は彼に近づく。

「久しぶり〜。広大っ！」

私が声をかけると、広大はこちらを振り返り、着ようとしていた制服で上半身を隠した。

「うわっ！」

その反応、面白い。広大が慌ててる姿、久しぶりに見たな。

「着替え中だ。出ていけ。」
「そんな硬いこと言わないでよ〜。広大の上半身の裸くらい見たことあるじゃん。」

私がそう言うと、広大は無言で後ろを向いて、着替えを続けた。
綺麗な背中と二の腕と、先程一瞬だけ見えた腹筋から分かる。剣道部で、相当鍛えているようだ。

「下はもう、着替えちゃったんだね。残念。」

冗談でそう言ってみたが、広大は私をスルーした。