AIが決めた恋
そして、着替えと支度が終わると私の存在など初めから無かったかのように、無視して帰ろうとした。

「ちょっと待ってよ!」

私の声で、広大が足を止める。
そして、鋭く冷たい瞳で、上から私を見つめた。

「俺、お前のこと、許したつもりないから。」

随分(ずいぶん)と挑発的な口調だ。
私に逆らうことなんて、できないくせに。

「『お前』って…。昔みたいに名前で呼んでよ。『愛』って。」
「拒否する。」
「それって、私のことは名前も呼びたくないっていうこと?」
「そう受け取ってもらっても、あながち間違いじゃない。」
「へえ。」

ふーん。よほど強気なんだ。

「私と藍ちゃんとでは、随分と態度が違うんだね。」
「当たり前だ。」
「好きなの?」
「あ?」
「藍ちゃんのこと、好きなの?」

私が聞くと、広大は少しだけ顔が赤くなった。
中学のことがきっかけで、人格が変わってしまったはずなのに、こういう所が、全然変わっていない。
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