AIが決めた恋
──結婚さえできれば、何でも良い。──

そう思っていたから、彼女に、お互いに必要以上の干渉はしないと約束した。
それなのに、結局俺は彼女とかなり関わってしまっている。

「どうして…。」

歩きながら。誰もいない階段で呟く。
1階に辿り着くと、直ぐ目の前に靴箱がある。
俺の靴箱は、左から3番目の1番下だ。
まったく。靴箱が1番下だと、靴を取るのに、いちいちしゃがまなくてはならないのが、面倒だ。
俺は溜息をつきながらしゃがんで、靴箱を開けた。
すると、1枚の小さな白い封筒が、丁寧に置いてあることに気がついた。赤いハートのシールで封をしてある。
まさか、ラブレターか…?
実際に、このようなことは今までに何度かあった。体育館裏に呼び出されたり、教室に呼び出されたり、中には、わざわざ職員室前の廊下に呼び出すという変わった人もいた。
あまりにも大量に手紙が届く日もあり、靴箱を開けるのが面倒になった為、1度靴箱に、ラブレターを入れるなという張り紙をしたこともある。今考えると、何も知らない人が見たら、ただのイタい人だ。
しかし、その張り紙のおかげで、ここ半年はラブレターが1枚も靴箱の中に入っていなかった。
白い封筒を見つめる。
これを送った主は、その貼り紙を知らなかったのかもしれない。
俺は、綺麗にシールを剥がして、中身を取り出した。
中を見てみると、便箋らしきものは入っていない。写真が1枚、裏向きで入っているだけだ。
その写真を取り出し、表向きにする。
< 424 / 508 >

この作品をシェア

pagetop