AIが決めた恋
「あれは、本当に事故です。文化祭の日、佐倉くんが火事に巻き込まれたのは、不真面目な生徒が、お酒を燃やして遊んでいたからです。」

今日、これを説明するのは2度目だ。やはり、何度目でも、胸が痛い。こんなこと、本当はしなくない。

「燃やしていた酒は何だ?」
「ウォッカです。」

私が答えると、真島くんは頷いた。

「なるほど。話は分かった。それ以上は説明しなくて良い。」
「え、今ので分かったのですか…!?」
「ああ。ウォッカを燃やした煙を佐倉が吸い込んで、そのまま酔った勢いでキスって話だろ?」

す、凄い…。さすが真島くんだ。頭の回転が速すぎる。
いや、感心している場合ではない。

「ありがとうございます。」
「え?」
「本当は、自分の口で言うのが辛かったのです…。だから、察していただけて、助かりました。」
「いや…、別に。真相が知れて良かった。」
「ずっと黙っていて、ごめんなさい…。」

私が黙っていなかったら、ちゃんと真島くんに話していたら、今日のことが起きても、真島くんの靴箱に写真が入れられていたとしても、お互いにもっと混乱をしなくて済んだはずだ。
言っていなかったから、余計にややこしいことになってしまった…。

「謝るのは俺の方だ。」

真島くんが、少しかがんで、私と目線を合わせる。
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