AIが決めた恋
「初めて会った時、俺が、必要以上に干渉しない、なんてことを言ってしまったから。言わなかった君が悪いんじゃない。最初からコミュニケーションを避けようとしていた、俺が悪いんだ。」

そんなわけ、ないのに。
確かに去年の初めの方は、真島くんに話しかけづらいことは、たまにあった。
でも、真島くんはどんどん変わっていった。勉強を教えてくれたり、役作りの為に一緒に帰ってくれたり、映画に誘ってくれたり──
確実に、真島くんは私と距離を縮めようとしてくれていた。それなのに私は、物理的な距離は縮めても、真島くんとの精神的な距離感を、ずっと縮めずにいたんだ…。

「だから、君がもし良ければ、必要以上に干渉しないという約束は、撤回しよう。俺は君のことをもっと知りたい。せっかく…相性の良いパートナーなんだから、…もっと、関わりたい…。」

真島くんの真っ黒なオーラが、少しだけ濃い灰色に戻っていくような気がした。

「俺が提案したことだったのに、自分勝手に撤回とか、都合が良すぎるけど…。駄目か…?」

どうして、彼はこんなにも優しいのだろう。
口調はぶっきらぼうなのに、いつもその優しさに、溺れそうになる。
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