AIが決めた恋

「広大はあんたの名前、呼んだこと無いんでしょ。」

影石愛が呆れたように言う。
確かにそうだ。いや、正確には1度だけ、フルネームで呼ばれたことがあったが、それ以外は、出会った時からずっと、私のことを“君”と呼んでいた。

「それは、私が特別だから。他の人を『あい』って特別な名前で呼びたくないんだって。それが例え、相性抜群のパートナーでも。」

そんなことはない。真島くんが、そんなこと、するはずない。そう思いたいのに…、でも、心当たりがある。真島くんは、佐倉くんやももちゃんやお兄ちゃんなど、私以外の人は、ちゃんと苗字や名前で呼んでいた。
“君”と呼ぶのは、私だけだった…。

「相性は抜群だけど、広大はずっとあんたのことが嫌いだったんだよ。無理してパートナーやってるんだって。可哀想だよね〜。」
「そんな…。そんなの嘘だよ。真島くんがそんなことするはず──」
「本当だよ。…え？まさか気づいてなかったの？嘘だと思うなら、本人に直接聞いてみれば〜？」

そんなの、聞けるわけないのに…。