AIが決めた恋

第3章 遠足でも相性が問われます

遠足は山登り…！？

いつもと変わらぬ朝。休み明けの月曜日。

「今日は週の初めだ。休み気分を引きづり、調子に乗って怪我などしないように。」

担任の先生が朝のHRを進行している。しかし、言うことなんてほとんどいつもと変わりない。
僕は聞いているふりをすることにした。
月曜日はなんとなく気分が乗らないが、今日は少しだけいつもとは違う。それはきっと、昨日、湖川さんとショッピングモールでばったり会い、初めてまともに会話することができたからだと思う。
しかし、それにしても、湖川さんと一緒にいた彼が少し怖かった。湖川さんが「お兄ちゃん」と呼んで慕(した)うくらいだから、決して悪い人ではないのだと思うけれど…。
握手をした時、通常では考えられないくらいの強さで手を握られた。そして彼は僕の耳元で、
『藍を傷つけることも、好きになることも、絶対に許さない。』
と低い声で呟いた。正直、寿命が何年か縮まるかと思った。
きっと、彼がそれほど湖川さんを大切にしているという証拠だろう。
勿論僕は、湖川さんを意図的に傷つけたりしない。これは、相手が湖川さんでなくても同じだ。そして、湖川さんを好きになったりしない。これも、相手が湖川さんでなくても同じ。
湖川さんは、ただ気になる存在というだけであって、この感情はきっと恋ではない。
恋をしたって、意味が無い。それは、お互いにパートナーがいるからという理由もあるが、恋をしたところで、幸福にはなれないと知っているからだ。

「今から話すことは重要なことだから、よく聞いておけよー。」

担任の先生がそう言い、僕は再び先生の方へと意識を向けた。