AIが決めた恋

「広大は、こんな風に思うことない？」
「あるよ。俺も、昔から沢山の習い事を習わされて、勉強も運動も芸術も、みっちり指導された。別にそれが嫌だったわけじゃないけど、心の何処かで、自分の父は有名な議員だから、それに相応しい息子にならなきゃいけないと、プレッシャーを感じていたのだと思う。」
「そっか。完璧少年と呼ばれる広大でも、そんな風に感じてるんだね。なんか、それを聞いたら安心する。」
「本当か？」

そう尋ねると、彼女は人差し指で、涙を拭いた。

「うん。もう大丈夫。みっともないところ見せちゃってごめんね。」
「いや、みっともなくなんてないよ。また何かあったら、いつでも言えよ。」

この時、彼女に親近感のようなものを感じた。
俺の周りには、俺を羨む人ばかりだったけれど、同じように悩んでいる人がいると知って、俺も少し安心したんだ。

「ありがとう。広大がいてくれて良かった。」

少しだけ、肩の荷が下りたような、そんな気がした。