AIが決めた恋
真島広大。彼が湖川さんのパートナーなのか。
真島くんも湖川さんと同じく、1人でいることが多い。相性が良いというのにも納得だ。
湖川さんは、真島くんとどんな話をするのだろう。この前、僕に話したような話を、同じように真島くんにするのだろうか。それは、何だか少し──
いや、そんなこと、僕には関係の無いことだ。
僕は急いで桃野さんの後を追った。

「藍ちゃ〜ん!」
「あ、ももちゃん。」

驚いた。湖川さんは桃野さんのことを『ももちゃん』と呼んでいるのか。意外だ。だが、2人が本当に仲が良いということが伝わってくる。

「お話中ごめんね。」
「どうしたの?」
「お二人は、月に一度の顔合わせ、もうした?」

湖川さんが首を振る。

「遠足を顔合わせ代わりにして良いと先生が言っていたから、そうするつもり。…ですよね?真島くん。」
「ああ。」
「それなら都合が良いよ!!私たちパートナーも、遠足を顔合わせにするつもりだから、よかったら4人で行かない!?」
「私はいいけど…真島くんは?」
「俺は別に何でもいい。1人でも2人でも3人でも4人でも、山を登ることに変わりはないだろ。」

真島くんが人と話している姿は、今日初めて見たかもしれない。
なんというか、とてもクールだ。
僕もたまに他人から、クールだと言われることがあるが、きっと僕は口数があまり多くないだけだ。本当のクールというのは、真島くんみたいな人のことを言うのだろう。

「良かった〜。じゃあ、決定ね。」
「それはいいが、君のパートナーは誰だ?さすがに当日初めて知ったし人と歩くのは気が引ける。」

真島くんが桃野さんにそう言った。
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