AIが決めた恋
「藍ちゃんは、無色透明の人を探してるんだよね〜。」

桃野さんが深い意味を含んだような表情でそう言った。

「ちょっと、ももちゃん…!」

無色透明のオーラとは何だろう。オーラはきっと、色で見えるのだろうけど、無色透明のオーラというのは、オーラが無い人のことだろうか。

「湖川さん。僕のオーラは何色なのかな?」

オーラというものがどのようなものなのかはよく分からないが、湖川さんが僕に対して何色のイメージを持っているのか気になった。

「えっと…、佐倉くんは…」

湖川さんが僕から視線を逸らす。
何だか困っている様子だ。もしかしたら、あまり聞かれたくなかったのではないだろうか。
今更ながら、聞いたことを少し後悔する。

「あ、赤です…。」

赤。
正直、自分に『赤』というイメージは全く無かったから、意外だ。
僕の中で赤は、情熱的なイメージである。どちらかというと僕は覚めた方であると思うから、てっきり、暗めの色なのかと思っていた。

「赤は、どのような意味があるの?」
「ごめんなさい。私は見えるだけで、意味までは分かりません。」
「そうか。」

インターネットで調べたら、赤いオーラの意味が出てきそうだ。しかし、信用できるサイトかどうか分からない。オーラが見えるという人は、この世の中に沢山いそうだけれど、中にはオーラが見えるふりをしてお金を騙し取る悪党や、でたらめを言っている人もいるのだと思う。
意味は調べないまま、僕は赤色であるということを受け入れよう。
< 55 / 508 >

この作品をシェア

pagetop