AIが決めた恋

「英語！！」

止めようとしている湖川さんを他所(よそ)に、桃野さんは何故か自慢気にそう言った。

「英語に関しては、学年ワースト5位をうろうろしていたんだよね〜。あ、因みにこれも陽芽ちゃん情報！」

桃野さんがそう言った瞬間、真島くんの顔色が一気に怖くなったことに気がついた。

「へえ。学年ワースト5位ね。よくもまあそれで、友達の勉強なんて呑気(のんき)に教えていられるもんだな。」

口調には明らかに怒気(どき)がこもっている。

「えっと、それは、その…。」
「前言撤回。俺もその勉強会に参加する。君は俺にずっと英語を教わっていろ。拒否権は無い。いいな？」
「えぇ…。」

湖川さんが小さな声で嘆いた。

「僕にも何かできることがあったら言って。」

良心で、そう言ってみた。しかし、真島くんは怪訝(けげん)そうな目で僕を見た。

「教えるのは、俺一人で十分だ。」
「でも、一人じゃ大変じゃないかな。真島くんも自分の勉強があるんだし。」

僕がそう言うと、彼は小さな溜息をつき、呟くように口を開いた。

「これは、言ったら自慢になってしまいそうだから、あまり言いたくなかったのだが、俺は中学時代、ずっと全教科で学年1位を取っていた。自分で言うことではないが、勉強には自信がある。」
「え！？真島くんって、頭良いの！？凄〜い！」

桃野さんが、拍手をする。

「それに、彼女は俺のパートナーだ。だから、俺一人で十分だ。」