AIが決めた恋
『彼女は俺のパートナーだ。』
そう言われてしまったら、もう何も言い返すことができない。所詮(しょせん)、僕と湖川さんはただのクラスメイトだ。どんなに湖川さんと話したいと思っても、例え友達になれたとしても、真島くんと湖川さんの関係を越えることはできない。
当たり前だ。2人はパートナーなのだから。
こんなこと、初めから分かっていたはずなのに。それなのに、どうして僕は──

「すみませーん。本田懸くんいますかー？」

その時、教室のドアの辺りから、誰かの声が聞こえてきた。
視線をそちらにやると、湖川さんの双子の妹が立っていて、僕と目が合った。

「あ！桜ケーキくんじゃん！」

僕は内心で溜息をついた。
桜ケーキ。初めて会った人には､よくネタにされるが､2回目以降も使ってくる人は初めてだ。

「藍とももちゃんもいる〜！」
「わ〜、陽芽ちゃん！今日も可愛いね〜！」

桃野さんが、陽芽さんの方に向かっていき、僕達もなんとなくその後を追った。

「陽芽ちゃんと佐倉くんって知り合いだったの？」
「前にちょっとだけ話したことがあるだけ。一応私のパートナーの友達なんだよね？」

そうだ。そういえばあの時、本田くんのことを“一応”友達だと言ったのだった。

「そうそう、懸くんに話があるんだけど、今いる？」
「懸くん？」

桃野さんが首を捻(ひね)る。

「うん、本田懸くん。」
「ああ、本田くんね。そういう名前だったんだ。知らなかった。」

桃野さんが、そう言って、本田くんを呼ぼうとした時──
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