AIが決めた恋
「お陽芽ぇ〜〜!!」

本田くんが、全力疾走で、こちらへと向かってきた。
それにしても、『お陽芽』とは…。いつの間にか陽芽さんのことを、『お陽芽』と呼んでいるのか。

「お陽芽、どうしたの?俺に何か用?今、暇だから何でも聞く!」
「うん。定期テストのことについてね。」

陽芽さんがそう言った瞬間、本田くんの顔が青くなった。

「あー、そうだ、俺、今忙しいんだった。また後で──」

逃げようとする本田くんの腕を、陽芽さんがガッチリと掴んだ。

「今暇だって、言ったよね?」

陽芽さんが笑顔をキープしたまま言った。しかし、明らかに怒っている雰囲気が漂っている。

「桜ケーキくん、懸くんの友達なら知ってるよね?懸くんの中学の時の成績って、良かったの?」

僕に聞かれても困る。はっきり言って、本田くんは成績が悪かった。ここで本当のことを言えば、本田くんは陽芽さんにシメられてしまいそうだ。しかし、嘘をついたところで意味は無い。
僕は、心の中で本田くんに謝った。

「正直、良い成績だとは言えなかったよ。」
「なっ…!おい!蛍貴!俺を裏切ったな!?」
「でも、意外と根性はある方だと思うから、勉強すれば、きっとできるようになると思う。」

一応、少しは擁護(ようご)することにした。

「やっぱりね。まずい、このままだと、私の夏休みが無くなる!」
「もうこの際、俺と一緒に研究所の手伝いしない?お陽芽となら、それも楽しいかも〜。」

本田くんが、開き直って言った。

「何言ってるのよ!そんなの絶対嫌に決まってるでしょ!」

さすがに、陽芽さんの顔から笑顔が消えた。
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