AIが決めた恋

本田くんくんは、人を怒らせる才能があるのではないかとたまに思うことがある。その度に僕はヒヤヒヤしてきた。

「よかったら、陽芽さんと本田くんも、勉強会、来る？」

2人の姿を見ていられなくなって、僕はそう提案した。

「勉強会？」
「30点以下を回避する為に、僕と桃野さんと湖川さんと真島くんで、勉強会をすることになってるんだ。」
「何それ〜、楽しそう！私達も参加する！」

本田くんは嫌そうな顔をしているが、陽芽さんは乗り気みたいだ。

「でも、これだけ大人数になると、どこでやるか問題になってこない？」

桃野さんが言った。
初めは地域の図書館かファミレスという予定だったけれど、さすがに6人は多そうだ。

「それなら私に考えがあるよ。」

陽芽さんが右手を挙げた。

「裕くんの家でやるのはどう？」

裕…？何処かで聞いたことがあるような…。

「お、お兄ちゃんの家で…！？」

お兄ちゃん。そうだ。湖川さんの従兄。確か、『湖川裕』という名前だった。

「藍ちゃん達の従兄の裕さんね！懐かしい。私のこと覚えてるかな〜。」

桃野さんも彼のことを知っていたのか。

「でも、お兄ちゃん、良いっていってくれるかな。」
「大丈夫に決まってるでしょ。」
「どうして？」
「一人暮らしだから、お客さんは招きやすいんじゃない？それに！裕くん、昔から藍の言うことは何でも聞くんだもん。駄目って言うはずがないよ。」

双子の陽芽さんが言うと、凄く説得力がある。

「ということで、決定！藍、裕くんに連絡よろしくね。」
「あ、うん。」
「それから、貴方。」

陽芽さんが、真島くんに一歩近づいた。