AIが決めた恋
真島くんの言葉の意味を理解するまでに、数秒程かかった。

「…あの、勉強会は10時からでは…?今、まだ7時ですけど…。」
「何を甘えたことを言っているんだ。君、英語がピンチなんだろ?だったら、少しでも朝早くから取り組まなきゃいけない。」
「でも私、まだパジャマで…。朝ご飯も食べていないですし…。」

真島くんの表情が強ばったことが、インターフォン越しでも分かった。

「それに、今からお兄ちゃん家へ行っても、開けてくれるかどうか…。」
「君の従兄、君の言うことなら何でも聞くんだろ?」
「それは…。」

それはそうかもしれない。実際、大人数で勉強会をする為にお兄ちゃんの家を使いたいと言ったら、なんの躊躇(ためら)いもなく、OKを出してくれた。

「30分待ってやる。できるだけ早く支度をしろ。いいな?」
「わ、分かりました…。」

私はインターフォンの傍を離れると、慌てて支度を始めた。
それにしても、真島くんはどうして私の家の場所が分かったのだろう。教えたことはないはずなのに。

「そんなに慌ててどうしたの?」

母が慌てている私を見て、聞いた。

「勉強会、本当は10時からだったんだけど、真島くんが今から行こうって。」
「ああ、勉強会って、裕くんの家でやる勉強会ね。」
「うん。できるだけ早く支度をしなくちゃいけなくて…。」
「それなら、真島くんに家へ上がってもらえば?」
「へっ…?」
「だって、外で待たせるのはよくないでしょう?それに、将来結婚するかもしれないんだから、顔をよく見ておきたい。ということで、呼んでくるね。」
「え、ちょっと、お母さ──」

私の言葉など全く聞かず、お母さんは勝手に玄関のドアを開けてしまった。
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