AIが決めた恋
そんなこんなで、私の英語の特訓は、かなり前途多難なものであった。

「腹減ったー!集中できねえ!」

それぞれが勉強を初めて暫く経った頃、陽芽に勉強を教えてもらっていた本田くんが、しびれを切らして、そう叫んだ。

「懸くんは、お腹が空いてなくても集中できてないでしょ!」
「お陽芽ぇ。そんなこと言うなよぉ。俺もいつもよりは頑張っているんだよぉ。」

本田くんが嘆いているが、確かにいつもよりは頑張っているのかもしれない。
普段、授業中は開始5分で居眠りをして、先生に怒られている姿を何度か見かけたことがある。

「確かに、そろそろお昼だ。皆疲れてきたんじゃない?」

お兄ちゃんがそう言った。
時計を見ると、午後11時50分間を指している。
私も少しお腹が空いてきた。

「じゃあ、僕がコンビニで適当なものを買ってくるよ。欲しい物がある人は言って。」

お兄ちゃんがポケットからメモ帳を取り出した。

「ちょっと待って裕くん!」

陽芽が叫んだ。

「どうしたの?」
「本当に、裕くんが買いに行っていいの?私達、今日は裕くんの家を借りているわけだし、買い物まで行かせちゃうのは、失礼じゃない?」

確かにそうだ。特に私は本来の時間の3時間も前にお邪魔してしまった。いくら従兄妹だとはいえ、図々しかったかもしれない。『親しき仲にも礼儀あり』だ。

「じゃあ、私が代わりに行ってくるね。」

私がそう言うと、陽芽は首を横に振り、意味深な笑みを浮かべた。

「ゲームで決めよう。」
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