最後に見たのは君の泣いた顔だった
「あ、九重先輩だ♡今日もカッコいい」

「真央ってば、それしか言ってない~」

「いっそ告っちゃえば良いのに」


ひそひそ話してるつもりだろう声が、廊下で響いてる。
もう、何回も聞きなれた会話。


やっぱり空来ってモテるよね?
私みたいな女より、可愛いこなんて沢山いるでしょうに。。


「キャッ♡こっち向いた。かっこいい~♡」


いや、何が「キャッ"♡"」だよ。めっちゃ黄色い歓声浴びちゃって、かっこいいーなんて言われて。


ーー空来は素直な子の方が好き…?

なんて、聞けないよな…。


空来の癖毛がもふもふしてて、猫みたいで可愛い。

身長も私の方が大きかったのに、気がつけば大いに抜かされている。

私の目線上だと、肩しかみえない。



「今日の愛未、可愛い」


そういって撫でたのは前髪で


「え、どうしたの急に」


って聞いたら


「そのピン止め可愛い」


って言ってくれた。一瞬ビックリした私も、ピン止めって聞いてちょっと安心した。



空来はきっと、私を幼なじみ以外の何とも思っていない。

だから、この高くなる鼓動の意味も、赤くなる顔も、この熱だって行き場のない物になる。


あくまで君は、私の"お世話係"なんだから。

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