教師になりたい悪役令嬢はゲーム関係者の妨害にあう
「だ、だからって、お父様と喧嘩をするのは良くないわ!」

「わかった。君が言うのなら仲直りしてくるよ」

「そうして。出来るだけ早急に……」

「それじゃあ、今から王宮に行ってこようかな」

 ひらひらと手を振るアレンは本当に実行してくれるつもりらしい。これでアレン父からの苦情は撤回されるだろうか。
 しかしアレンは教室を出る前に足を止める。

「あのさ、エリナ」

「何?」

「僕が教師を目指す理由だけど、一番はね。この先も君のそばにいたいからだよ」

 私と一緒にいたいから、そのために教師を選んだの?

 失態ではあるが、嬉しいと感じてしまったことは確かだった。
 私のことを見ていてくれた。追いかけてくれた。それは私の目指す教師の姿だったから。

「アレン、私は……」

 けれど次の瞬間には喜びを打ち消す苛立ちが爆発する。

「だから君も、ちゃんと採用されてね」

「誰のせいで採用の危機に陥っていると思っているの!?」

 最後まで聞く耳を持たずにアレンは行ってしまった。王宮へ向かってくれるのなら止めるわけにはいかないが、最後まで聞いて欲しかったとも思う。

「――て、私も王宮に行かないと!」

 その足で王宮へと乗り込みロベルを説得した私は、卒業前の貴重な休日を使って行方不明となっていたシリス先生を探す旅に出た。
 ちょっとした一人卒業旅行の末、多少抵抗はされたが、無事学園へと連れ戻すことには成功した。

 これ残す問題はあと一つだけである。
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